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2020.2.14 日本文化藝術財団「創造する伝統賞」授与式典

2月14日に第11回「創造する伝統賞」(公益財団法人日本文化藝術財団)の授与式典が明治記念館にて行われました。日頃より応援いただいている皆様に深く感謝いたします。

【お知らせ】第11回「創造する伝統賞」

推薦者の作曲家・細川俊夫さんよりお言葉をいただきました。ご自身の作品の上演のため広島にいらっしゃり出席が叶わなかったので、授与式典で読み上げさせていただきました。

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青木涼子さん

創造する伝統賞の受賞、おめでとうございます。
あなたの国際的な活動が、ようやく日本でも認められて、このような立派な賞を受賞されることを、とても嬉しく思います。
あなたの能の謡、声を軸にした活動は、私たち現代の芸術音楽に関わるものに
大きな刺激を与えてくれます。これまでも能の世界で、「新作能」と言われるもののように、能の声を使った新作作品は、たくさん生まれてきました。しかしそのほとんどは、能のテキストを新しく書き換えたもので、音楽そのものはすでにある能の音楽からは、一歩も出ていないものでした。能のオリジナルの音楽がどんなに独自で個性的で素晴らしいものであったとしても、音楽が少しも改変されることなく、言葉だけを変えても、それは新しい創造とは言えません。西洋のオペラの名作を、音楽は同じで、台本の言葉を変えて歌うようなものです。

あなたはそうした問題点を、あなたの活動の最初の出発点から意識し、現代の作曲家に、あなたの声を使った新しい「音楽」の作曲を促すことで、全く新しい独自な能の声のための音楽を、生み出してきました。すでに50曲以上あるあなたのために書かれた作品を通して、能の音楽は、新しく生み出され、それはこれまでの能の地平を広げ、また世界中の優れた作曲家たちに「能」の本質を考えさせ、そして「能」の可能性とその奥深さを、知らしめることになったのです。

そのようにして、日本の優れた伝統は、世界に出て、さらに豊かな世界を見つけていくことでしょう。それは決して容易なことではありません。しかしあなたの音楽的な能力ばかりではなく、世界の現代アートに関する豊かな教養と鋭い感受性は、新しい作曲家を発見し、その作曲家との見事な共同作業を可能にしてきました。このようにして、能は現代に生きる芸術として、世界に初めて羽ばたくのです。

これからもあなたの素晴らしい活動に私も刺激を受け、日本の創造する伝統の力を教えてもらい、共に新しい東洋の音楽を生み出し、世界に発信していきたいです。
涼子さん、おめでとうございます。これからも元気に、ますますのご活躍を祈ります。

細川俊夫(作曲家)

共に受賞した竹工芸作家の田辺竹雲斎さんと。

たくさんの方がお祝いに駆けつけてくださいました。あいちトリエンナーレ2016の芸術監督の港千尋さん(多摩美術大学教授)。オレリアン・デュモンのオペラでお世話になりました。

トッパンホールの伊藤洋子さん、サントリー芸術財団の佐々木亮さん。

能楽研究者、立教大学教授の横山太郎さんとパレア若狭の宮田奏枝さん。

国際交流基金の三宅章太さんと寺江瞳さん。

東急文化村の西村友伸相談役、高山典子さん、寄本健さん、音楽評論、早稲田大学教授の小沼純一さん、資生堂の押野見由美さん。

他にもたくさんの方にお越しいただきましたが、お写真ご一緒できませんでした(涙)。でも皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
今まで活動を続けることができ、このような素晴らしい賞を受賞できたのも、これまでにたくさんの方々のご指導、ご支援いただいたお陰です。本当にありがとうございます。これからも能声楽家として一層精進していきたいと思います。引き続き皆様からのご支援をいただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

撮影:近藤誠司