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2020.7.11 第3回新型コロナウィルス終息祈願「能声楽奉納」スペインのために

7月11日に第3回新型コロナウィルス終息祈願「能声楽奉納」を行いました。「能声楽奉納」とは私が世界の作曲家と発表してきた祈りの芸能ともいえる「能」の謡の曲を、作曲家の暮らす国の人々に向けて演奏するオンライン奉納演奏で、最終回の今回は、被害の大きい国の一つであるスペインのために行いました。
この企画では、新型コロナウィルスの終息を祈願することと同時に、感染症流行の中でも演奏活動を続ける方法を模索しています。今回は初めて海外とのリアルタイムでの遠隔地セッションを行い、入国制限中でも海外の演奏家との共演の実現を目指します。

今回は初めての海外とのリアルタイムでの遠隔合奏をスペインのチェリスト、アルド・マタと行いました。アルド・マタは、3月中旬よりセビリアにて外出自粛生活を行なっておりましたが、ようやく外出規制が緩和され、この度配信機材が揃うマドリードに移動し、演奏することが可能となりました。2018年にスペイン大使館の委嘱で作曲された、ブルーノ・ドッツァ「エウリディーチェ」をスペインの人々に向けて奉納演奏しました。
今回もヤマハオンライン遠隔地合奏サービスNETDUETTOラボを使用しました。海外との演奏は想定されていないということでしたが、遅延もなく演奏することができました。ただ日本語の使用しかなかったので、使えるようになるまで、スペインとこちらで1ヶ月以上は四苦八苦しながらやりとりをしていました。

アルドが演奏する息遣いをマドリードから感じながら、私も歌うことができました。スペインからの視聴も多く、皆さんからもとても好評で、彼の素晴らしい演奏がマイクを通じても伝わったのが嬉しかったです。彼も慣れない中、わざわざ買った配信機材が使えなかったりと苦労を掛けましたが、なんとか今日の本番を迎えることができました。遠く離れていても、テクノロジーの力を使い、共に演奏をして、一つのものを作りあげられることができたのは本当に感動的な体験でした。


第3回目 新型コロナウイルス終息祈願「能声楽奉納」スペインのために
開催日時:2020年7月11日(土)18:00-18:15(日本)/11:00-11:15(スペイン)
曲目:ブルーノ・ドッツァ「エウリディーチェ」
出演:青木涼子(能声楽・東京)アルド・マタ(チェロ・マドリード)ブルーノ・ドッツァ(作曲・マドリード)
協力:AMATI

なんの予算もない中、セビリアからマドリードまで演奏しに来てくれたアルド・マタ、作曲家のブルーノ・ドッツァ、ピアニストで映像に詳しいAlexis Delgado Búrdaloが力を合わせて配信を実現することができ、本当に感謝しかありません。終わった後は、みんな興奮して、記念撮影しちゃいました。
この3回の配信を通して感じたのは、皆さんのあたたかさでした。がんばっているからと支援金を送っていただいた方々、無茶振りばかりを受け止めて下さったチームの皆さんや、奏者、作曲家の皆さん。海外の友人、遠くに住んでいて日頃コンサートに来ることができない古い友人や親戚などが初めて私の演奏を見たと連絡をくれたりで、離れていても人との繋がりを感じることができました。大変なことも多かったですが、本当にやってよかったです。
コロナの終息までまだ時間もかかりそうですし、九州の豪雨も大変なことになっています。皆さんくれぐれもお気をつけてお過ごしください。

Photo : 津山寿文