News

カテゴリー

新年のご挨拶

皆様

1年前には誰も想像していなかった事態になった2020年は終わり、2021年を迎えました。あけましておめでとうございます。

昨年は、新型コロナウィルス感染症のために演奏活動ができなくなり、音楽業界は死活的な状況となりました。アジア、日本を超えて、世界にコロナの影響が出てきた3月に、私はニューヨークでオペラに出演していました。そこから、エストニア、マドリードとツアーの予定でしたが、エストニアへ移動したところで、中止が決定し急遽帰国しました。その後、ヨーロッパでも急速に感染拡大し、ロックダウンとなりました。

まもなく日本でも外出自粛になり、音楽の力で何かできることはないかと模索し、初めてライブ配信を行うことにしました。人と繋がれない状況だからこそ、共演者の方と共に音楽を奏でたいと考え、リアルタイムでのリモート演奏を行いました。新型コロナウイルス終息祈願「能声楽奉納」として、イタリア、フランス、スペイン、オランダに向けて行い、合計で5,500回以上、ご視聴いただきました。特に12月7日の第4回は、世界三大オーケストラの一つであるロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団メンバーとの演奏で、今まで一番大規模な配信ということもあり、無事に終わってとても嬉しかったです。この試みを国内外の人たちと連携して行う中で、人の絆、温かさ、勇気をたくさんいただいたことは、コロナ禍にあって、数少ないよかったことの一つでした。

また感染が落ち着いた時期には、実演の機会にも恵まれました。夏にはフランス、ロワイヨモン音楽祭に招聘され渡仏し、ヨーロッパの作曲家による新曲4曲を世界初演しました。困難な時期であっても、日本から渡航する私を受け入れ、新しい芸術を生み出していかねばという彼らの強い意思に感銘を受けました。10月には新曲委嘱世界初演シリーズ「能 × 現代音楽」を赤坂区民ホールで予定通りに開催し、ドイツ、フランス、ルーマニアの作曲家による3作品を世界初演しました。作曲家の来日は叶いませんでしたが、オンラインでの参加となり、企画の意図通りに実現できました。また生まれ故郷の大分県佐伯市のさいき城山桜ホール開館記念セレモニーにも出演させていただきました。

2021年の公演予定は、現時点では例年よりも国内外共に多いものとなっています。2月のドイツのための「能声楽奉納」、国内での依頼公演のための準備を進めています。今年後半には、ベルギー、スイスでのオペラ公演、ベルギーでの音楽祭などの海外公演、また日本での大きな公演も予定しています。ただ、これらの開催予定も当然ながら感染状況によります。

この年末年始も世界、日本でこれまでにない感染者が報告され、第三波は予断を許さない状況ですが、世界でワクチン摂取が進んでいることもあり、今はただ自粛して終息を願うばかりです。
皆様も引き続きご自愛の上、お過ごしくださいませ。2021年が皆様にとってよい年になりますようにお祈り申し上げます。

能声楽家・青木涼子