2025.6.13 細川俊夫 《二人静ー海から来た少女ー》 ナクソスよりCDリリース
6月13日に準メルクル指揮ハーグ・レジデンティ管弦楽団と録音した細川俊夫作曲オペラ《二人静ー海から来た少女ー》のCDがナクソスより発売されました。そのほか、マリオ・カローリによるフルート協奏曲『セレモニー』も収録されています。ぜひお聴きください!![]()
細川俊夫:管弦楽作品集 第5集 二人静ー海から来た少女ー、セレモニー
青木涼子、イルゼ・エーレンス、マリオ・カローリ、準・メルクル、ハーグ・レジデンティ管弦楽団(日本語解説&歌詞訳付)
全て世界初録音
録音:2024年3月14-17日 Concertzaal、Amare、The Hague(オランダ)
総収録時間:65分
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ーCD発売に寄せて
細川俊夫作曲オペラ《二人静 —海から来た少女—》は、私の音楽人生において最も大事な作品の一つです。2017年フィルハーモニー・ド・パリでのマティアス・ピンチャー指揮アンサンブル・アンテルコンタンポランとの世界初演後も何度も世界各地で演奏を行ってきました。台本は劇作家の平田オリザさんが能『二人静』を基に現代の物語に書き下ろしたもので、私は静御前の役を、ソプラノは難民の少女ヘレンを演じています。細川作品は能に触発されたものが多いのですが、謡は《二人静》で初めて使われ、今のところ唯一の作品です。謡がソプラノとオーケストラと一体になって響く本作品は今までにない新しい音楽だと思います。今回は2024年3月に美しい響きのAmareホールにて、初演のアンサンブル版より弦楽器を増員し、準メルクル指揮ハーグ・レジデンティ管弦楽団と録音を行いました。素晴らしいオーケストラとの共演はとても幸せな時間で、録音を聴く度に今でもその時を思い出します。静寂から生まれる深淵な響きに耳を傾けつつ、いまだに世界で続く悲しい出来事についても考える機会になればと思います。ーー青木涼子
指揮者の準・メルクルさんと共に。ぜひお買い求めください!
ご購入はこちらより→ 細川俊夫:管弦楽作品集 第5集 二人静ー海から来た少女ー、セレモニー
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レコード芸術ONLINE 2025年8月号 長木誠司
推薦 能を土台にする《二人静》で、エーレンスと青木の声の対比とそれぞれの声の主張が、よきアイディアとして作品を支えている。青木に西洋的な発声をさせるような愚挙を、さすがに細川はしていない。してみると、歌手は当然ふたり必要だったのかも知れない。《二人静》とは、細川の創作理念とスタイルにみごとにはまった題材だったのではないだろうか。大作ではないものの、細川の創作を語る上で不可欠な好材料となりそうだ。20年後、30年後に青木以外の適切な演奏家が出てくるのかどうかが、不安でも楽しみでもある作品。
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音楽の友 2025年9月号 相場ひろ
英語と日本語の飛び交うなかで独特の色彩が明滅する歌劇でも、どこからが和でどこからが洋か定かでない、二つの世界が渾然一体となった音響が、ゆったりとした時の流れを描きながら聴き手をそっと包み込んでいく。
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Mostly Classic 2025年9月号 石戸谷結子
難民の少女に静御前の霊が乗り移るという物語。静御前は能声楽家の青木涼子が演じる。メルクルの指揮は沈静化していく音と鋭い切り口が交差し、ときにドラマチックに盛り上がる。
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Ritmo(スペインの音楽ジャーナル)Daniel Pérez Navarro
細川が音楽的に東洋と西洋を融合させ、魔法のように、そしてほぼ不可能とも言えるバランスを実現したこの作品は、二人の主人公の選択にも如実に表れている。イルゼ・エーレンスは西洋オペラを代表するソプラノ歌手、そして青木涼子は能楽師であり歌手でもある。楽器アンサンブルが二人を包み込み、喜びと悲しみは普遍的な根源を持つ。
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pizzicato(ルクセンブルクの音楽ジャーナル)2025/6/13 Norbert Tischer
著名な能声楽家、青木涼子の歌声に合わせ、イルゼ・エーレンスが魅惑的な物語を紡ぎ出し、オーケストラのスリリングな演奏が響き渡る。