作曲家のための謡の手引き
2010年より青木涼子(能)は、国際的に活躍する多国籍の作曲家に能の「謡」を素材に用いた作品を委嘱するシリーズ「Noh×Contemporary Music」を主催、今までに16名の作曲家に委嘱してきました。この先進性が世界からも注目を浴び、各地から招待を受け演奏しています。また2014年にはデビューアルバム「能×現代音楽」(ALCD-98)をリリース、高い評価を受けています。
能では伝統的な謡の記譜法が存在しますが、日本語を解し、能の稽古をした人にしか理解するのが難しいものです。本プロジェクトでは、謡のための新作がより多くの世界の作曲家に開かれるよう、謡のいろはを日英両方の言語でまとめ、それをウェブにて公開いたします。
作成:青木涼子、小出稚子、馬場法子
助成:国際交流基金アジアセンター、公益財団法人野村財団
・シテ方
シテ方が担当する範囲が広い。舞台では主役の他、ワキ方・狂言方以外のツレ・トモ・子方(子役)等の役を演ずる。
・地謡(コーラス) 能の時は通常8名。リーダーを地頭という。
・後見 シテ方出演者の装束付け。舞台進行の責任者。
・楽屋要員 演能に必要な大道具・小道具の作成。準備。幕上げ。
以上、何れも専門の人は無く、シテ方が行う。
・ワキ方
・囃子方
・狂言方
能の流儀
・シテ方 5流 観世・宝生・金春・金剛・喜多
・ワキ方 3流 宝生・福王・高安
・囃子方 笛方 3流 森田・一噌・藤田
小鼓方 4流 観世・幸・幸清・大倉
大鼓方 5流 葛野・高安・石井・大倉・観世
太鼓方 2流 観世・金春
・狂言方 2流 大蔵・和泉
上演演目
一番目(初番)物 脇能 神 物(神)
二番目物 修羅物(男)
三番目物 鬘 物(女)
四番目物 雑 物(現)
五番目物 切能 鬼 物(鬼)
能の構成
序 (ワキ)次第 「コトバ」 道行
破 (シテ)一セイ サシ 下歌 上歌
「コトバ」 カカル 地上歌
クリ サシ クセ ロンギ
急 (後シテ)サシ 「舞」 キリ
前半は一定のリズムと抑揚で謡う様式化した台詞である詞が多く、後半に向かうにつれ、拍節の明確な謡の割合が増えてくる。