テアトロ・レアル王立劇場
ヴォルフガング・リーム作曲 オペラ「メキシコの征服」マリンチェ役
10月9日から19日までの8公演に、テアトロ・レアル王立劇場で、戦後ドイツを代表する作曲家、ヴォルフガング・リームによるオペラ「メキシコの征服」に出演します。現在テアトロ・レアル王立劇場は前パリ・オペラ座総裁のジェラール・モルティエが芸術監督を務めており、世界的に注目を集めている歌劇場です(2013年9月に新ディレクターへの交替が発表、それに伴いアーティスティック・アドヴァイザーに就任)。
青木涼子が務めるのは、リーム作曲オペラ「メキシコの征服」のマリンチェ役です。ピエール・オーディの新演出。役名があるのは、モンテズマ、コルテス、マリンチェの3役で、ナディア・ミヒャエル(ソプラノ)、ゲオルク・ニグル(バリトン)という世界最高峰のキャストと共に出演します。
Wolfgang Rihm: Die Eroberung von Mexico (La Conquista de México)
2013年10月9、11、12*、13、15、17、18*、19日 20:00- (13日18:00-)
指揮:Alejo Perez アレホ・ペレス
演出:Pierre Audi ピエール・オーディ
舞台美術:Alexander Polzin アレクサンダー・ポルツィン
Costumes: Wojciech Dziedzic
Lights: Urs Schonebaum
Video: Claudia Rohrmoser
Dramaturge: Klaus Bertisch
Choir Director: Andres Maspero
〈出演〉
Montezuma (モンテズマ):Nadija Michael ナディア・ミヒャエル
Ausrine Stundyte* (12、18)
Cortez (コルテス):Georg Nigl ゲオルク・ニグル
Holger Falk* (12、18)
Malinche (マリンチェ):Ryoko Aoki 青木涼子
Un hombre que grita (叫ぶ男):Graham Valentine
Soprano: Carole Stein
Mezzo-soprano: Katarina Bradic
First actor: Stephan Rehm
Second actor: Peter Pruchniewitz
Choir and Orchestra of the Teatro Real
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Teatro Real オンラインチケット
このリームのオペラは、アントナン・アルトーによる戯曲が基になっています。メキシコの最後の王モンテズマとスペインの将軍のコルテスとの出会いが描かれています。史実では二人の男性ですが、このオペラでは、ソプラノとバリトンに置き換えられています。青木涼子が務めるマリンチェは、実際に存在していた、二人の通訳をやっていたメキシコ人女性で、コルテスの愛人であったといわれています。オペラでのマリンチェの役割は、movement(動き)とsilence(沈黙)で、二人の間を行ったり来たりします。マリンチェはメキシコ人の通訳の女性の役ですが、今回の新演出意図により、青木涼子が起用されることになりました。モンテズマとコルテスが西洋人のキャストなので、それと全く違う次元からの素材がマリンチェには必要である、またアントナン・アルトーが能に影響を受けていたこともあり、日本の能の役者、そして女性であることから、青木涼子がキャスティングされました。
リームについては、長木誠司さんが、レコード芸術2013年7、8月号に連載で書いてらっしゃいます。特に「メキシコの征服」については、8月号に詳しく載っており、私のことも最後に触れていただいています。ぜひご覧ください。
〈プロフィール〉
ピエール・オーディ/ Pierre Audi(演出)
1957年レバノン、ベイルート生まれ、パリ育ち。オックスフォード大学で歴史を学ぶ。1979年ロンドンのアルメイダ・シアターを創設、1989年までディレクターを務める。1988年よりネザーランド・オペラの芸術監督を務めており、現代オペラ界を代表する演出家の一人である。2005年よりはホーランド・フェスティバルのディレクターも務める。
アレクサンダー・ポルツィン/ Alexander Polzin (舞台美術)
1973年東ベルリン生まれ。彫刻家として世界中から委嘱を受け、作品を発表している。また舞台美術も多数手掛けており、2013年ザルツブルグ復活祭音楽祭にワーグナー「パルジファル」(ティーレマン指揮)でデビューした。テアトロ・レアル王立劇場の13-14シーズンでは、リーム「メキシコの征服」、ワーグナー「ローエングリン」(2014年)の2つのオペラプロダクションを担当する。
ナディア・ミヒャエル/ Nadija Michael(ソプラノ)
世界的に活躍するドイツ人ソプラノ歌手。2005年にメゾソプラノからソプラノに転向。ミラノ・スカラ座、ロイヤル・オペラ・ハウスに「サロメ」のタイトルロールにて出演。他にも、ウィーン国立歌劇場、グラインドボーン音楽祭、ザルツブルク音楽祭、バイエルン州立歌劇場、モネ劇場、ベルリン州立歌劇場、などに出演している。2012年には、メトロポリタン歌劇場に「マクベス」でトーマス・ハンプソンのマクベス役と共に、マクベス夫人役でデビューした。
ゲオルク・ニグル/ Georg Nigl(バリトン)
オーストリア・ウィーン生まれ。これまでにバイエルン州立歌劇場、ベルリン州立歌劇場、ミラノ・スカラ座、モネ劇場、シャンゼリゼ劇場、ボリショイ劇場、ザルツブルク音楽祭、エクサン・プロヴァンス音楽祭などに出演。特に定評のある現代作品を中心に幅広いレパートリーを持つ。2014年新国立劇場に「ヴォツェック」のタイトルロールで初登場する。