レコード芸術2014年7月号準特選盤!!

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デビューCD「能×現代音楽」がレコード芸術2014年7月号の新譜月評において準特選盤に選ばれました!!


青木涼子の出現は、これまで単発的に、それもあまり可能性があるとは思えないような形で行われてきた能と現代音楽のマッチングに新たな、そして見通しのよい展望を付与し、また同時に作曲家たちを大いに刺激している。その顔ぶれがとにかく新鮮だ。多くの日本人が能の強靭な伝統に引っ張られ、どこか半端な音楽や演劇的振る舞いに留まってきたのに対し、ここに収められた作品は、青木からのオファーとは言え、能の声に代表される身体の発露を、原初的な地点にまで遡って、パラレルな自分の問題として受け止めている。それは、単に新しい能を作るというようなせせこましいスケールに捕われるのではなく、能や謡の発想から発していることは間違いないものの、何かもっと別の、声と楽器、声と息のパフォーマンスへと翔んでしまっており、それが非常にエキサイティングな場を、こうしてCDとして音だけ聴くことによっても作り上げている。いや、むしろ視覚性があると、よりこれらの作品は上演が難しくなるかも知れない。フルート族、クラリネット族は、どの作品でも息を潜め、一瞬丸出しにしながら音楽に参加する。それはサニカンドロ作品までは古典的テクストとも、そしてデュモン作品までは青木の謡と融合しながら、発話の何たるかを問い続ける。エトヴェシュの《Harakiri》では、さらに幾重にも重層するテクストの歴史と現実の歴史が、そこに折り重なる。演奏を含め、透徹した刺激的な1枚だ。(長木誠司)




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