2016年4月22日(金)23日(土)
フランス在住の気鋭作曲家・馬場法子による《Nopera AOI葵》の世界初演を迎えました。演出は振付家・ミエ・コッカムポー、衣装はwrittenafterwards(リトゥンアフターワーズ)の山縣良和が担当。
昨年12月にハクジュホールの「アート×アート×アート」シリーズで一部を上演し、様々な物を楽器として扱い視覚と聴覚が交差した馬場の音楽と、山縣流に伝統を再解釈した斬新な衣装が話題となりました。
フランス公演での演出は、フランスを中心に世界的に活躍する振付家・ミエ・コッカムポーが担当します。日本人の母を持ち、第1回世界バレエ&モダンダンス・ コンクールでグランプリを受賞するなど日本に縁が深いコッカムポーが能をどのように演出するかも見所の一つです。
六条御息所の生霊と鬼女の役を青木涼子が主演し、パリで最も古い現代音楽アンサンブル2e2mとその芸術監督であるピエール・ルイエの指揮によって演奏されました。
このプロダクションは、今秋にもフランス各地での再演が予定されています。
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ミエ・コッカンポ演出によるNopera AOI あらすじ
美しいが気位の高い元皇太子妃の六条は、今は光源氏の愛人になっている。しかし、光源氏には正妻の葵がおり、葵は六条より若く、まだ世間を知らない。
ある日、六条は光源氏と葵のパーティーに呼ばれる。冒頭は、パーティー会場であるクラブを出た外の場面である。パーティーの様子に疲れきった六条は外の空気を吸いたいと、酔った足取りでクラブから出てくる。
そこにあるテレビのモニターに、幸せそうに無邪気に踊る葵の姿を発見し、六条は嫉妬に駆られる。
嫉妬に狂い、激しく舞い出す六条。しまいには、光源氏に携帯でののしりのメッセージを送ってしまう。そうしたら、光源氏より携帯に着信が。もしかしたら、彼は私のところに戻ってくれるのではないかと期待し、六条は携帯を胸にパーティー会場へ走って戻る。 六条はパーティー会場に戻るも、そこで幸せそうな光源氏と葵のカップルの現状を見せられ、うちのめされる。
六条は嫉妬のため、とうとう鬼女に変身する。
鬼女の霊を納めようとする巫女と修験者二人と、六条の一進一退の攻防が繰り広げられる。
置かれたテレビ画面には、六条の怨念によって、次第に葵が苦しめられていく様が映し出される。 激しい戦いの末、霊は祈り伏せられ、六条は怒りの象徴である布団を脱ぎ捨て、立ち去ってしまう。
六条が消えた後、そこにすべてを悟った葵が登場する。葵は自分も年齢を重ねれば、六条と同じように、光源氏は若い女性に走り、自分は捨てられるということがわかっている。そうであれば、私は六条のようになりたくはない、いまこの瞬間にその輪廻を断ち切るのだと、自らの意志で死を選ぶ。
Photo : Jean Couturier
馬場法子《Nopera AOI葵》(世界初演)
2016年4月22日(金)23日(土)20:00開演
パリ日本文化会館(101 bis, quai Branly
75015 Paris, France)
フランス文化省委嘱
作曲:馬場法子
演出:ミエ・コッカムポー Mié Coquempot
指揮:ピエール・ルイエ Pierre Roullier
衣装:山縣良和(writtenafterwards)
出演:青木涼子(六条御息所の生霊と鬼女)
演奏:アンサンブル2e2m
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